漢方豆知識
2021.03.15

ダイエット③  ー運動不足編ー

もう、これは、みんな分かっていて、もはや口に出すことも憚られます。でも運動なしに肥満解消はあり得ません。お薬はあまり関係ない話ですが、大切なことなので合わせてご説明したいと思います。

以前、同じカロリーを食事制限で減らした場合と運動で消費した場合、どちらがより痩せたか、という研究がありましたが、答えは「運動で消費した方がより痩せた」でした。理由は色々と考察されますが、定期的に運動をするようになると健康に対する意識が自然と高まり、無意識に体にいい食べ方を始める、という効果も大きかったようです。反対に食事制限だけしていても、「それじゃあ運動も始めよう」とは、なかなかならないんですね。

もちろん、運動で筋肉がつけば基礎代謝が上がって痩せやすくなる、とか、運動するとアドレナリンが出て代謝が上がる、といった効果もありますが、「運動すると自己肯定感が高まる」という効果は見逃せません。

世界的に見ても、体をよく動かす人たちのほうが幸福感や人生に対する満足度が高いという研究は数多く、反対に、毎日の平均歩数が5649歩を切ると、不安や気分の落ち込みなどの症状が現れるというデータもあります。ストレスが過食の原因になることは前回お話しましたね。ダイエット最大の敵はストレスといっても過言ではありませんが、定期的に運動を続けることでストレスをコントロールし、幸福感を高めることで自分をより大切にし暴飲暴食から遠ざかる、という好循環を生むことは効率的なダイエットにつながります。

私自身のお話をすると、以前総合病院に勤めていたときは、外来→透析室→救急→病棟→医局を行ったり来たりして、1日平均7000~8000歩程度歩いていたため、自宅でヨガをしている限りはさほど運動不足を感じませんでした。しかし、開業をしてからは狭い診療所内にこもっているため極端に歩行距離が短くなり、さすがにこれはマズイと思い始めました。そこで、本当は走るのなんて大嫌いだったのですが、昨年の秋から仕事の後に近所のジョギングを始めてみたのです。すると、1ヶ月ほど経つと不思議に走ることがだんだん楽しくなり、悪天候で走れない日には苦痛を感じるようになってきました。そこで、個室型のジムに入会して週3回程度走っているのですが、今は走らない生活がちょっと考えられない感じになっています。

これを科学的に説明すると、運動はアドレナリン、ノルアドレナリン、内因性カンナビノイドなどの脳内化学物質の分泌を引き起こし、高い高揚感をもたらす、言わば「中毒性」を持っていると言われています。ある研究においては週4回の運動を6週間継続することで、この中毒性が現れてくるとされていますが、確かに私の場合もそうだったかなあと思います。

運動を始めるのは、ちょっとした思い切りが要ることです。でも6週間継続することで、その後の人生は確実に変わってきます。漢方的に言えば、運動するだけで気や血の巡りがよくなり、生理痛や便秘、不眠などが改善する方は多くいらっしゃいます。

暖かくなり、外で過ごすのが楽しくなるこの季節、ぜひ1日プラス1000歩から、あるいはラジオ体操から運動を始めてみましょう。(しのぶ)