漢方豆知識
2021.03.08

ダイエット② ーストレス編ー

今回はストレスと肥満の関係のお話です。

昨年流行語にもなった「コロナ太り」。もちろん外出を自粛したための運動不足は大きな要因ですが、ストレスも関与しているのをご存知でしょうか。

ストレスを感じると無性に食べたくなる、という経験は誰にでもあるもの。これは西洋医学的には、食欲刺激ホルモン「レプチン」がストレスによって過剰に分泌されるため、と説明することができます。また、ストレスによって成長ホルモンの分泌は低下するために新陳代謝の低下がもたらされ、肥満を増悪させる原因となります。(レプチン、成長ホルモンについては、ダイエット①で詳しくご説明しています)

ところで、コラム「感情の居場所」で感情と臓腑の関連についてお話しましたが、今回はストレスが漢方的にどのような感情、臓腑と関連しているのか考えてみましょう。

ストレスに対する反応は人によって異なり、①怒りやイライラといった感情が強くなり攻撃的になるタイプ、②思い悩み抑うつ的になるタイプ、③不安感が強くなりパニックを起こしやすくなるタイプ、の3つに大きく分かれます。そして、①の攻撃的な感情は肝臓と、②の抑うつ的な感情は脾臓と、③の強い不安感は肺臓と関連があり、ぞれぞれの臓腑の働きを弱らせます。

この3タイプのうち、ストレス太りしてしまうのは①の攻撃タイプの方です。怒りの感情が肝臓を弱らせるために理性的な判断力が低下し、お腹がいっぱいになっても食べ続けてしまったり、食べることでストレスを発散しようとしたりするからです。②の抑うつタイプの方は脾臓が弱るために消化機能が低下し、食欲がなくなったり、胃もたれしやすくなったりするので、反対に痩せてしまいます。③の不安タイプの方は、肺の機能が低下するために過換気になりやすかったり、喉や胸が詰まって苦しいような感じがしたりしますが、あまり食事には関係しません。

ストレスで肝臓が弱り食べ過ぎてしまう方には、肝臓を整える漢方薬を処方して食欲を抑える治療をします。肝臓の働きが正常になると理性の力が強まり、自然に食べ過ぎを抑えたり、体にいいものを選んで食べる力がついてきます。月経前になると途端に食べ過ぎる、という方がいらっしゃいますが、これも月経前に一時的に肝臓の働きが弱ることに起因しているため、同じようなお薬を使います。特に血を補う働きもある加味逍遙散は使用頻度の高いお薬です。

ストレスと肥満の関係についてご理解いただけたでしょうか。食べることは一時的な幸福感をもたらすため、ストレスがあると過食になりがちなのはやむをえない面があります。そんな時はひと呼吸おいて、「わたしお腹いっぱいじゃない?」「これはストレスで食べてるだけ?」と客観的に俯瞰してみること、そこから始めてみたいですね。しばらく深呼吸を繰り返すだけでも効果がありますので、どうぞお試しを。(しのぶ)