そろそろ花粉症もピークを迎えていますね。辛い症状、お薬以外にもなにかできることはないのでしょうか?
今回は、免疫の仕組みと漢方が導き出す意外な「養生」についてお話しします。ちょっと時期が遅れてしまいましたが、通年性の鼻炎の方にも共通する内容なので、是非お読みください。
鼻粘膜は、いま「火事」の状態です
花粉(アレルゲン)が鼻の粘膜に付着すると、体内の免疫細胞である「肥満細胞」が反応します。この細胞からヒスタミンなどの化学物質が一気に放出されることで血管が拡張し、鼻の粘膜は真っ赤に腫れ上がります。
これが「急性炎症」の状態です。炎症を起こした鼻の粘膜は非常にデリケートで、少しの花粉や、あるいはハウスダストなどの刺激にも過敏に反応してしまう悪循環が形成されます。いわば、鼻の中の「火事」に薪を足すような状態です。この燃え上がるような炎症を素早く鎮め、過敏さを抑えるのが漢方の花粉症治療戦略になります。
漢方の視点:小青竜湯と「心下の水気」
花粉症の代表的な漢方薬である「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」。この薬の役割を解き明かす鍵は、「心下(しんか)に水気(すいき)あり」という傷寒論の条文にあります。
「心下」とは、みぞおち、つまり胃のあたりのこと。「水気」とは、うまく処理されずに体内に溜まった余分な水分のことです。
漢方では、胃の働きが落ちて「水」が滞ると、それが鼻の粘膜へと溢れ出し、症状をさらに悪化させると考えます。「水」だからといって火を消すのではなく、腫れを助長する方に働くんですね。小青竜湯はこの胃の周りに溜まった水を動かし、鼻の腫れを引かせてくれる漢方薬なのです。
胃腸を整え、粘膜の火を消す
鼻の粘膜の炎症を鎮めるためには、外からの刺激を避けるだけでなく、内側から「炎症を起こしやすい環境」を変えていくことが大切です。
小麦・乳製品を一時的に避ける
グルテンやカゼインは、胃腸の粘膜に微細な負担をかけ、全身の炎症傾向(火種)を強めてしまうことがあります。
冷たい飲食物を控える
胃を冷やすと「水気」が溜まり、鼻の粘膜もむくみやすくなります。
腹八分目を心がける
胃腸がスムーズに動くことで、体内の水分代謝が正常化し、粘膜の過敏さが和らぎます。
花粉症の治療はただ症状を抑えるだけでなく、「炎症に負けない土台作り」が肝心です。鼻の粘膜をいたわるために、まずは今日から、あなたの胃腸をいたわってあげてください。
当院では、患者様お一人おひとりの炎症の状態や体質に合わせ、最適な漢方薬と養生法をご提案しています。つらい季節を少しでも快適に過ごせるよう、一緒に取り組んでいきましょう。