自律神経失調症
2022.12.01

呼吸のコツは、しっかり吐くことと食べ過ぎないこと

さて、今回は腹式呼吸のポイントについてお話しします。

①首と肩をリラックスさせて、まっすぐ座る

リラックスするときは、先に力を入れるのがコツです。息を吸いながら首をすくめて、耳に肩をつけるようにグーっと引き上げ、息を吐くと同時にストンと脱力します。これを2ー3回繰り返してください。姿勢は坐骨の真上にまっすぐ体重をかけるイメージですが、とりあえず猫背にならないような感じで楽に座ります。

②お腹に力を入れる=吐く

呼吸というと吸うことを意識しがちですが、大事なのはむしろ息を吐くことです。まずは、お腹に力を入れてできるだけぺったんこにし、ちょっと苦しいくらいになるまでしっかりと吐き切ります。このとき横隔膜は上に引き伸ばされるようにストレッチされ、その分肺は縮んで次に吸う準備ができます。

③お腹の力を抜く=吸う

次にぺったんこにしていたお腹の力を緩ませると、横隔膜も下に引っ張られるように下がり、肺が膨らんで自然に息が入ってきます。このとき肺が胸ではなくおへその辺りにあると想像すると、よりやりやすくなります。吸った息が胸を通ってお腹の中にある風船を膨らませるイメージです。反対に吐くときはお腹の中の風船を腹筋でギューっと潰す感じをイメージします。

カウントをとるとすれば、4カウントで吸って8カウントでゆっくり吐くように、吐く方を2倍の時間をかけて②③を繰り返します。コロナなどによる肺炎後遺症のある方や肺気腫の方は、ゆっくり吐くのが難しく感じるかもしれません。その場合は息を吐くときに口を口笛を吹くときのイメージですぼめて行うとやりやすくなります。慣れてきたら力みを取って楽に呼吸を続けます。寝る前に布団のなかで練習するのもいいですね。入眠がスムーズになるはずです。

 

息を吸うときにどうしても肩や胸が上がってしまう場合は、仰向けに寝た状態で練習してください。背中を床につけることで胸や肩の動きが制限され、自然にお腹を使えるようになります。

とにかく息苦しいときは、吸おうとせず吐くことです。でもいざ息苦しくなったとき、そんなことを考えている余裕はなくなりますので、はじめはリラックスしている時間帯に練習してください。ただし、食後は胃に食べ物が入っているため、うまくお腹に力が入らないし、横隔膜の動きも制限されるので練習には向きません。

実はここ大切なポイントなのですが、胃の調子が悪くて、もたれや張り感があるとスムーズな呼吸の妨げになります。息苦しくなりやすい方は特に食べ過ぎなどに注意し、横隔膜が動きやすい状態を保つようにしましょう。以前胸脇苦満のあった方が甘いものを一切やめたところ、きれいに改善したことがありました。おそらく胃の痰飲がとれて、横隔膜が動きやすくなったためではないかと考えています