更年期障害
2022.05.22

更年期障害⑦ ー更年期うつ(漢方編)ー

漢方では、人の健康は「気血水(きけつすい)」が過不足なく巡ることで維持されると考えます。

徐々に月経がまばらになったり、不正出血が増えたり、月経が短くなったり長くなったりする更年期は、気血水のなかでも「血(けつ)」の異常が現れやすい時期といえますね。

更年期の始まりである40代後半は血の滞り、つまり瘀血(おけつ)による頭痛や関節痛、月経過多などが起こりやすくなりますが、50歳前後からは経血量は減少し「血虚(けっきょ)」の状態に入ってきます。血は全身を栄養する液体ですので、この時期は髪や肌の乾燥を感じることが増えてきますが、同時に不安を感じやすくなったり、夜中に何度も目が覚めたりする方も増えてきます。これは血が精神を栄養する働きも担っているためで、日頃患者さんを拝見していると、いわゆる更年期うつの方には血虚の方が多いと感じます。

このような患者さんに血を補うお薬や血虚による虚熱をさますお薬を処方すると、メンタル面が安定してくることが多いのですが、食事療法もとても大切です。

ちょっと話がそれますが、血虚と聞くと「貧血と違うの?」という疑問が湧きますね。血虚と貧血は似て非なる概念なのですが、貧血もうつの原因になることについて、ついでに触れておきたいと思います。月経がある女性には鉄欠乏性貧血が多いのですが、日本人女性は世界的に見ても鉄摂取量が少なく、検診などでは見つからない「かくれ貧血」が多いと言われています。

かくれ貧血とは赤血球の量が足りていても、赤血球の材料になる鉄分(フェリチン)が足りていない状態をいいます。体の中の鉄分は赤血球になる以外に脳内の伝達物質やホルモンの生成にも不可欠で、不足することで元気がなくなったり気持ちが不安定になったりすることが分かっています。

メンタルの不調をきたすのは血虚と貧血両方の共通点ですね。先程血虚には食事療法が大切と書きましたが、食事療法も共通します。血虚の方も貧血の方も鉄分の多い赤身の魚や肉をとるようにしてください。ほうれん草などの野菜にも鉄分は含まれますが、野菜の鉄分は量が少なく吸収も悪いので数に入れない方がいいでしょう。胃が弱くてタンパク質をたくさん摂れない方は市販されている「ヘム鉄」のサプリメントを少量から✴︎試してみるのもいいと思います。

✴︎少量から…このサプリメントでも胃もたれをしたり下痢をする場合があるため