更年期障害
2022.05.02

更年期障害⑥ ー更年期うつ(西洋医学編)ー

前回のコラムで、うつ病じゃない不眠は更年期障害。というようなことを書きましたが、うつ病なの?更年期障害なの?というお話しについて、もう少し補足します。今回は西洋医学のお話です。

前回は不眠を例にお話ししましたが、更年期になると気分が落ち込みやすくなったり、訳もなく不安になったり、イライラしたり、そんな症状は誰にでも現れやすくなります。この理由はエストロゲンが減少することで幸せホルモンの異名を持つセロトニンが減少したり、また、抗不安作用を持つプロゲステロンが減少したりするためと考えられています。

左下の図を見てください。更年期に入る前、エストロゲンが十分あればなんともなかったレベルのストレスも、エストロゲンの減少により対応しづらくなった、更年期うつの状態を示しています。この場合は、ホルモンを補充することで不眠などのうつ症状の治療を行います(図①)。

次に右下の図を見てください。エストロゲンが減少していなくても、自分の対応力を超えるストレスにさらされれば、やはり不眠などの症状が現れてきます。これは更年期とは関係のないホントの抑うつ状態であり、抗不安薬などで治療されます(図②)。

要はストレスレベルと自分の対応レベルのギャップが何によって生まれているか、そこが問題になる訳です。単純なケースで考えれば、45歳から55歳の間に何にも思い当たる原因がないのに眠れない日が続いていたら、それは更年期うつの可能性が高いでしょう。でも、もし、この年齢の時にペットや親を同時に亡くすような大きなストレスにさらされて、何も手につかなくなってしまったら、それは更年期うつでなくて本当のうつ病を発症しているかもしれない、もしくは、更年期うつに本当のうつ病を合併して発症しているかもしれない(図③)、そんなふうに考えられます。この辺りは完全に分けられる訳ではないので、ホルモン補充プラス抗不安薬、というような治療がされることもあります。

若いときに全くメンタル上の問題がなかった方ほど、更年期に起こる変化に不安になります。「私は精神病になってしまったんでしょうか?一生このままなのでしょうか?」と当院に駆け込む方もいらっしゃいます。でも、ほとんどの場合1−2ヶ月漢方薬を飲んだだけでよくなりますので、あまり心配し過ぎないことです。心配し過ぎるのも更年期の症状だから仕方ないんですけれど。

ではいよいよ、次回は更年期うつを漢方ではどのような治療するのか、お話ししたいと思います。