漢方豆知識
2020.05.06

理想の朝食(前編)

朝食といえば卵料理、「卵は1日何個まで食べてもいいでしょうか?」というような質問も時々受けますが、今回はこのお話からさせてください。

たぶん世界中のお医者さんが同じ質問を受けるのでしょう、「○個が一番長生き」といった論文はいくつもありますが、昨年出た大規模な研究では「食べないのが一番」という、卵好きには残念な結果が・・。

でも、同じ研究を100年前に行っていたら、結果は全く違っていたはずです。栄養状態が今よりずっと悪かった時代であれば、卵をたくさん食べた人の方が長生き、という結果になっていたかもしれません。

ここから分かるように、「○○を食べたら長生き」「△△は毎朝食べた方がいい」といった情報が入ってきたときは、その背景を想像し、自分の体にあった食事法なのかどうか考えてみることがとても大切です。

先の質問に私が答えるとすれば、普段から肉や魚を食べられず、野菜しか食べないという患者さんなら「卵は1日1個くらいはいいですよ、たまには2個食べてもいいでしょう」となるし、毎日ステーキを食べるが、野菜は大嫌いという患者さんなら「なるべく食べない方がいいでしょう」となります。

さて、前置きが長くなりました、朝食のお話です。どうぞご自身に当てはめて考えてみてください。

午前中は脳の働きが活発になり、最も仕事の効率が高くなる時間帯です。ここでしっかり仕事ができていれば、午後は少しリラックスして過ごす余裕が出てきます。リモートワークをしている方なら、クリエイティブな仕事は午前に、単純作業的な仕事は午後にするのがお勧め。

午前中をクリエイティブに過ごすための食事として、私が大切と思うことには3つあります。

①朝食は絶対食べる

②炭水化物+タンパク質+食物繊維のバランスをとる

③とは言え、食べ過ぎない

下に平成29年度の厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」を示しました。これを見ると、20歳から29歳男性の30.6%、同年代女性の23.6%が朝食を摂っていません。まあ、若さがあれば朝食を食べなくても乗り切れちゃうんでしょうね。

でも、漢方的に考えると、若いときの不摂生はのちのち不妊症や冷え性など様々な不調の原因にもなるため、いま大丈夫だからと油断はできません。では、朝食にどんなものをどのくらい食べたらいいのか、具体的なところもきちんとお話したいのですが少し長くなってきました。こちらは後編にまとめたいと思います。(しのぶ)