感染予防
2022.03.01

感染予防の漢方④ ー食養生ー

風邪を引いた時の食べ物といえば、すりおろし林檎、たまご粥、たまご酒でしょうか。実はこれらの定番も、風邪のどのステージで摂るべきか適切なタイミングというものがあります。そんなところから今回は風邪の食養生について考えます。

前回までにお話しした通り、風邪のひき始めには体を温めることが必要なので、食事でも温かいものを頂くのが鉄則です。たまご酒、たまご粥が適するのはこのタイミングですね。

では、ひき始めの対応を誤って数日間ひきずってしまった場合にどんな食事を摂るべきなのか、漢方の古典「傷寒論」には次のものを避けるように記載されています。

現代的に超訳すると、避けるべきは「生もの、冷たいもの、肉、小麦製品、辛いもの、アルコール、乳製品、腐りかけのもの」。

上記の食べ物は風邪の時に食べると免疫力を低下させる可能性があり、風邪を長引かせると考えられます。

少し詳しく見ていきます。

まず、「生もの」ですが、例えばお刺身や生卵ですね。現代においても抗がん剤治療中で免疫力が低下した患者さんには、生ものを避けるように指導されます。免疫が弱っている時に古いお刺身などを食べると食あたりを起こしやすくなるから、と言うのが理由ですが、冷蔵庫のない時代は正にそうでしょうね。「腐りかけのもの」ももちろん✖️です。

「冷たいもの」は寒気がある間は避けた方がいいでしょう。みかんなどの果物はビタミンCが豊富ということで勧められる場合もありますが、この時期には✖️です。

しかし、熱が上がりきってウンウン唸っているような状態になった場合は、冷たい果物で水分補給をすることはむしろ大切になります。すりおろし林檎をたべるのは、そのタイミングですね。

「肉、小麦製品、辛いもの、アルコール、乳製品」これらは胃腸の負担になりやすい、漢方的に言うと胃腸に熱を溜めやすい食品です。鼻炎のコラムでもお話しましたが、漢方では風邪の邪は体の表面から内臓に伝播していくと考えます。つまりこじれるほど胃腸が熱を持ち、吐き気や下痢などの消化器症状を伴いやすくなるのです。そんな状況のときに食品で胃腸に熱を溜めると、邪の侵入をより助長してしまいます。風邪がこじれてきたらたまご酒もやめた方がいいということですね。

ついでにお話しすれば、風邪に限らず体に何らかの感染症状がある時、例えば大きくて痛いニキビができた時、アトピー性皮膚炎が悪化している時、ものもらいができた時、膀胱炎の時などにも、この胃腸に熱を溜める食品は症状を悪化させる可能性があります。是非避けるようにしましょう。