漢方豆知識
2021.07.10

自律神経失調症⑤ ー過敏性腸症候群ー

緊張する場面でお腹が痛くなったり、下痢をしたりするのは比較的よくみられる症状です。特に10代から20代の若い方で多く、「試験の時にお腹が緩くなって困る」とか「電車に乗っている時にお腹が痛くなる」など日常生活に支障をきたす場合もあります。病院で大腸カメラなどの検査を受けて異常がないと過敏性腸症候群の病名がつき、腸の運動を整えるお薬が処方されることもありますね。自律神経失調症の一つに数えられます。

まず、過敏性腸症候群をストレスと食欲の関係から考えると、ストレスで①食べられなくなるタイプ、②普通に食べられるタイプ、③過食するタイプ、の3タイプに分かれますが、緊張で下痢をするのは②のタイプの方が多いと思います。下痢をしやすいのだからファストフードやアイスクリームは避けているのかな、と思いきや、大好物ということも珍しくなく、そして食べる割に痩せている方が多いです。外から見るかぎりは物静かな印象ですが、芯が強くストレスを溜めやすい方。

こういった方は上腹部に緊張が溜まり、押すと不快感があることも多いですが、そうかと言って胃の痞えの自覚はなく、なんでも普通に食べられます。これが却って胃腸の負荷を増やし過敏な腸のベースを作ってしまうのですが、漢方ではこれを湿熱の邪が腸にある状態と捉えます。ある意味お腹に爆弾を抱えている状態ですが、ここにもう一つ刺激が加わると容易に腸の蠕動が亢進し、腹痛や下痢を起こしてきます。その刺激は、ストレスであることもあるし、焼肉など脂っこい食事であることもあるし、なんであっても食事をとること自体が刺激になってしまうこともあります。

治療としては、湿熱の邪を除いていくか、お腹の緊張をとり腸の過剰な蠕動を抑えていくか、ストレスによる心理的な負荷を和らげていくか、状況に応じて薬を選びます。

生活上の注意点としては、とにかく脂っこいものや甘いもの、人によっては小麦など腸に湿熱の邪をためやすい食事をできるだけ避けていただくことが大切です。ある程度過敏性が取れれば少しくらい食べても大丈夫になりますので、下痢が多い間は少し我慢をお願いします。