当院では腰痛、膝関節痛、半月板損傷、坐骨神経痛など体の痛みのご相談も多いのですが、患者さんを拝見していると、共通点として反り腰の方が目立つのが気になっていました。私は整形外科ではありませんが、調べてみると、腰と膝と坐骨神経痛は密接に関係しています。
(反り腰の簡単な判断の仕方をご紹介すると、壁を背にして後頭部、肩、お尻、踵が壁につくように立った際、腰の後ろに手が余裕で差し込める方はちょっと怪しい、手の甲が引っかかるくらいがちょうどいいカーブです。)
漢方薬である程度痛みのコントロールはできますが、そもそも間違った姿勢や歩き方を続けていては根治に至りません。今回は正しい姿勢の大切さと姿勢を正す方法について、漢方的考え方も踏まえてお話しします。
1.反り腰になる原因
女性がほぼ全員反り腰になる時、それは妊娠中です。お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれ、体の重心はどんどん前方へ移動します。そのままでは前に倒れてしまうため、お母さんの体は上半身を後ろにのけぞらせることでバランスを保とうとしますが、この代償動作が腰のカーブを強くし、反り腰を作り出します。このような前提があるため女性の骨盤はもともと前傾(お尻を突き出すような形)しやすい構造になっているのです。
このため妊娠中でなくても腹筋の力が弱いと内臓の重みだけで反り腰になりますし、また、ヒールの高い靴を履いた時もバランスを取るために反り腰になりますし、着物文化からくると言われる内股の歩き方も、反り腰を助長させると言われています。
2.反り腰はなぜいけないのか(漢方の視点)
東洋医学では、背中側にはエネルギーの通り道である「督脈(とくみゃく)」が流れていると考えます。反り腰の状態は、この通り道がグニャリと折れ曲がっているようなもの。特に関係が深いのが、生命力の源である「腎(じん)」です。
「腎」が弱まると、腰を支える力が落ち、ますます骨盤が前に倒れます。すると、腰周りの「気・血(き・けつ)」の巡りが滞り、下半身へ栄養を運ぶルートが渋滞を起こしてしまい、むくみや冷えに直結してきます。
3.反り腰は膝を傷めます
骨盤が前に倒れる反り腰の状態では、バランスを取るために股関節が内側にねじれ、膝が内を向く「ニーイン(Knee-in)」を引き起こします。つま先をまっすぐ正面にして足を肩幅に開き、膝を90度くらいまで曲げてみてください。このときに膝の内側が足の親指より内側に入っているようなら、おそらくあなたはニーインを起こしています。
このニーインの状態は膝のお皿(半月板)に負担をかけるため、続けていると半月板損傷を引き起こす可能性があります。また、椅子に座った状態で膝の内側に手を当てて、膝から下をぶらぶらとさせたとき、何かスジが引っかかる感じがしたり、コキコキ音がするようでしたら膝関節内の滑膜ひだ(タナ)が炎症を起こしているかもしれません。
4.反り腰は坐骨神経痛の原因になります
反り腰で骨盤が前傾すると、バランスをとるためにお尻の深層にある「梨状筋(りじょうきん)」が常に引き伸ばされ、硬く緊張します。この梨状筋のすぐ下を坐骨神経が通っているため、固くなった筋肉が神経を圧迫すると坐骨神経痛を引き起こします。これを梨状筋症候群と言います。
長年の体の使い方のくせや合わない靴が、関節痛やむくみ、冷え性などを引き起こし仕組みについて、ご理解いただけたでしょうか。
具体的な対策については次回のコラムでご紹介していきたいと思います。