漢方豆知識
2023.04.03

胃腸の不調 ーFODMAPのすすめー

便通の改善には、水分補給、食物繊維、発酵食品、適度な運動、腹式呼吸など、いろいろな方法がありますが、いろんなことをしてもどうしても良くならない、という方もいらっしゃいます。

そのような方に最近ご紹介しているのが、FODMAPです。

FODMAPは発酵性のある4種類の糖質の頭文字を組み合わせたもので、F「発酵性の」、O「オリゴ糖」、D「二糖類」、M「単糖類」、A「and」、P「ポリオール」を指します。

FODMAPは小腸での吸収が悪いために腸の蠕動運動を過剰にして下痢を起こしたり、大腸で発酵して大量のガスを発生させて便秘やオナラの原因になったりすることがあり、便秘だけでなく下痢をしやすい方も一旦控えてみることをお勧めしています。

FODMAPの代表的な食べ物としては、小麦、納豆を含む豆類、乳製品、キムチ、ハチミツ、きのこ類など、飲み物ではウーロン茶、ビール、甘いワインなどが挙げられます。

日常的によく食べるものですし、特に納豆、キムチ、ヨーグルト、きのこなどは、便秘改善のためにむしろ勧められる食品ですので、意外に思われるかもしれません。でも、「ヨーグルトを食べているのに全然便秘が良くならない」と、思い当たる方は案外多いのではないでしょうか。

また、これらの食品は胃もたれや胃の張りなどの原因になっていることがあります。10年くらい前からグルテンフリーの食事法が注目されるようになりましたが、小麦を止めるだけで数年来の胃もたれや頭痛が良くなった方もいらっしゃいます。

FODMAPについてはネットで調べればすぐ出てきますが、本当にいろんな食物があって驚きます。理想としてはそれらを全部2-3週間やめて不調が改善されるか見ればいいのですが、実際に行うのは難しいので、週に2-3回以上食べている食品を一つ選んで2週間中止してみる、という方法でもいいと思います。

例えば、毎朝パンを食べる方なら2週間ご飯にしてみる、といった具合です。それで改善がなければ、小麦は関係なさそうなので、次によく食べている納豆を中止してみる。そんな感じで順番に中止して一番怪しいものを探っていきます。

胃腸を整えるのに漢方を使うのももちろん有効ですが、いずれお薬を中止していくという出口戦略を考える上で、食事内容の見直しは必須です。胃腸でお悩みの方はぜひトライしてみてください。

FODMAPを調べていると感染症の食養生でご紹介した、風邪に罹っているときに避けるべき食べ物、「生もの、冷たいもの、肉、小麦製品、辛いもの、アルコール、乳製品、腐りかけのもの」とも共通点があるなーと思いました。腸の環境を整えることは免疫力アップにつながると言われます。漢方の先人たちの知恵はすごい!とまた感動しつつ、患者さんにFODMAPの表をお見せする日々です。