慢性鼻炎
2021.12.01

胃腸虚弱の鼻水

胃腸のことを考えるとき、私は食虫植物のことを思い出します。小さい頃にテレビで食虫植物を見て「植物が虫を消化できるなんてすごい!」と、とても感心しました。でも、今になって思うと人間だってかなりすごいですよね。虫どころか牛でもクジラでも消化してしまいます。

ただし、その力は徐々に衰えます。脂ののった牛肉なんて、見ただけで胸焼けがしてきます。中年になると痩せづらいと悩む方が増えますが、反対から考えるとあまり食べなくても体重を維持できる、理にかなった身体になったとも言えます。

ここでこの理を無視して食べていると、未来は二つのパターンに分かれていきます。ひとつは胃腸が強くて食べれるから太ってしまうパターン、もうひとつは年中胃腸の不調に悩まされるパターンです。

後者のパターンでどんな不調がでるかは、何を食べているかによって変わりますが、いずれにしても漢方で言うと「痰飲(たんいん)」といういらない水が胃に溜まってきます。私がイメージしているのはアメーバのようなネバネバしたゲル状のものですが、これが胃腸の壁に張り付いて、胃もたれさせたり、胸焼けを起こしたり、下痢させたり、いろんな悪さをします。

そして重要なのは、この痰飲が鼻水の原因にもなるということです。漢方には「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」という有名な言葉がありますが、ここで言う脾とは消化器一般を差し、胃に痰飲ができると鼻水や咳などの呼吸器症状が現れることを言っています。これは昔の迷信ではなくて、現代では不健康な食事法が喘息発作の誘因になることは医学的な常識です。

痰飲による鼻水の特徴は、まず食べ過ぎで悪化するということ。あとは、食事の最中、あるいは後に鼻水が増えやすいということです。

こういう方の鼻水を根本的に良くするためには、痰飲を治す漢方薬が必要です。痰飲の漢方の基本は小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)ですが、普段からあまり食欲がない方には、ここから派生した半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)や六君子湯(りっくんしとう)などが用いられます。食欲はあって、つい脂っこいものなどを食べ過ぎて胃もたれする方の鼻水には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が使われることもあります。

あなたの鼻水はどうでしょうか?普段から胃腸に自信のない方は、胃もたれしないお食事を心がけてみてください。明日の鼻水が少し変わるかもしれません。