慢性鼻炎
2021.11.12

慢性鼻炎①

鼻水の患者さんが増えてきました。水様鼻汁が止まらない、鼻が詰まって口呼吸になる、鼻水が喉に垂れ込むなど、人によって症状はさまざまです。抗アレルギー薬で症状は和らぐけれど、できれば薬がいらなくなりたい、と受診される方も少なくありません。私も一時期一年中鼻をかんでいましたので、お気持ちはよく分かります。。

西洋医学で病名をつけるとすれば、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、慢性上咽頭炎の方が多いのですが、一般的には抗ヒスタミン薬か去痰薬、場合によって抗生物質くらいしか治療がなくて、なかなか根治に至りません。

漢方においても慢性化して時間が経った方の治療には難渋することがあります。残念ながら治して差し上げられない場合もありますが、今回は鼻水のタイプ別に、私が治療のポイントとして考えている点についてまとめてみようと思います。

 

初回の今回は、慢性化した鼻症状で受診いただく方へお願いから始めさせてください。

西洋薬では鼻水の治療薬は限られていますが、漢方ではさまざまな薬の選択肢があります。その中でどれを選んでいくかが重要なのですが、大きなヒントになるのが患者さんの鼻の状態です。鼻水の色や粘り気、量も大切ですが、一番お聞きしたいのはどんな時によくなってどんな時に悪くなるのか、という点です。患者さんご本人にとっては当たり前のことなのであまり意識されていませんが、鼻水の状態は日々異なっていて、楽な日ととても辛い日があるのが普通です。そして、実はここが治療のうえで非常に大事なところなのです。

例えば、寒い朝に多いのか、お風呂で温まった時に増えるのか、食事の後はどうか、疲れていると増えるのか、寝不足ではどうか、食べ過ぎで悪くならないか、雨の日はどうか、学校の日と休みの日では違っているのか、などなど。診察室では非常にしつこく聞いていきます。なぜなら、漢方薬で「鼻が楽な日」の状態を作っていきたいのです。寒い日に悪いのなら温める漢方薬を、食事の後に悪くなるなら胃の負担を和らげる漢方薬を、そんな風に考えていきます。

「漢方でアレルギー体質を治したい」と受診される患者さんもいらっしゃいますが、漢方には「アレルギー体質を治す薬」というものはありません。患者さんにとって不快な症状がでる状態をできるだけ減らすこと、それが漢方の目指す体質改善なんだろうと思っています。

そんなわけで、漢方で鼻症状を治療してみたいと思われた方は、ぜひ鼻日記をつけてみてください。天気、気温、食べたもの、疲労度と症状の程度を記録しましょう。

敵を知れば百戦危うからず。よろしくお願いします。