漢方豆知識
2021.06.12

自律神経失調症①

自律神経失調症ってなんだろうなー、と学生の頃漠然と思っていましたが、ついに医学部では教わることなく卒業に至りました。なぜなら、西洋医学では「自律神経失調(症状)」はあっても、「自律神経失調(症)」という[「病気」はないからです。そして、ついでに言うなら、自律神経については習ったけど、自律神経失調(症状)については習いませんでした。

でも、医学生が研修医になると、急に自律神経失調(症状)に頻繁に遭遇するようになります。「朝起きられない」「だるい」「めまいがする」「動悸がする」「急に汗が出る」「いつも下痢をしている」などはよく見られますが、患者さんが外来を受診された場合、お話を聞いた上で血液検査をしたり、心電図をとったりして原因になる「病気」がないか探ります。

ここでこっそり医者の内実をお話すると、研修医は「大事なのは「本当の病気」を見逃さないこと」「重大な病気の兆候を見逃さないこと」と繰り返し叩き込まれています。つまり、検査をして最終的に自律神経失調と判断(患者さんには「過労ですね」とか「ストレスでしょう」と言われます)することは、医者にとっては「病気じゃないから大丈夫とみなす」ということであり、ここに患者さんと医者の意識の大きなギャップが生じるわけです。「だるいけど、悪いところはないといわれた」というやつですね。医者としてもなんとかしてあげたいけど、実際のところ根本的に治療する手立てがないことが多い。

なかには病気じゃないと言われて、安心して症状を忘れていく方もいらっしゃると思います。でも、多くの場合は、「病気じゃないって言われたけど、じゃあこのだるさはどうしたらいいんだ」「他の科に行ってみようか」「でもいったい何科に行けばいいんだ」となってしまいます。

そうすると、ここからが漢方の出番ですね。漢方でなら例えば「だるくて、めまいがして、朝起きられない」というのは立派な病気であり、治療法もあるからです。漢方では自律神経失調症をどのように捉え、治療していくのか。次回から少しご説明してみたいと思います。(しのぶ)