漢方豆知識
2021.02.02

冷え性②

今回は全身が冷えているタイプ2のお話です。

これは前回お話しした通り「体の熱を産生する力がそもそも足りない」タイプ。手足の先はもちろんですが、実は膝から下全部、重症だと腹や背中も冷えていて、ホッカイロをいつもお腹に貼っていたりします。

体温を維持する熱エネルギーのほとんどは、筋肉と肝臓や腎臓などの内臓で産生されているので、このタイプの方は、筋肉不足、あるいは内臓の働きが弱い方と言い換えることもできます。このうち鍛えることができるのは、もちろん筋肉ですね。

筋肉をしっかりつけること、また、定期的な筋トレや有酸素運動によって筋肉が熱エネルギーを産みやすい状態にすることは、冷え性改善にとって大変重要です。(ちなみに「筋肉が熱エネルギーを産みやすい状態」とは、つまり代謝が良い状態ということなので、痩せやすい体づくりにもつながってきます)

筋肉をつけるためにはタンパク質を摂ることも重要ですが、タンパク質はもっとも効率よく熱を産み出す食べ物でもあります。生姜、ネギ、根菜類は体を温めてくれる食べ物としてよく知られていますが、タンパク質も忘れずに摂ることが大切です。できれば朝食にタンパク質を取り入れてみましょう。

漢方の治療としては、筋肉が熱エネルギーを産みやすくする生薬である「当帰」を用いた処方が頻用されます。「当帰芍薬散」や「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」は冷え性のお薬として有名ですね。当帰芍薬散は子宮を温め緩める効果や水の巡りを良くする効果もあるので、冷え性かつ生理痛、浮腫の強い方によく用いられます。当帰四逆加呉茱萸生姜湯はしもやけの薬とされていますが、当帰芍薬散よりもう一段筋の弱りが進んでおり、体力が低下している方に用います。呉茱萸や生姜は胃を温め吐き気を止める効果もありますので、実は四肢末端が冷えているだけでなく、冷めたいものや甘いものの食べ過ぎで胃が冷え、吐き気や腹痛を起こしやすい方に用いるべきお薬です(単に末端の冷えが強く体力が低下している場合には「当帰四逆散」で良いのですが、エキス剤には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」しかないので、こちらがよく使われるのだと思います)。

より高齢になって筋肉の絶対量が減り、当帰を使ってもうまく熱を作れなくなっている場合、あるいは内臓の働きが弱くなり、体の芯から冷えてしまっている場合には、また別のアプローチになります。長くなってきましたので、このようなタイプの方の対処・治療については次回ご説明しましょう。(しのぶ)