漢方豆知識
2020.08.08

正しい水分の摂り方

夏に体がだるくなることってよくありますが、夏バテを原因別に分類すると

  1. 食欲低下で栄養、ミネラルが不足しがち
  2. 暑くて寝不足になりがち
  3. クーラーと熱暑との行き来で自律神経が乱れがち
  4. 水分の摂り方を失敗して、脱水または浮腫みがち

 

そんな方が多いかなと思いますが、今回は4の水分の摂り方について書きたいと思います。

毎年夏になると「こまめな水分補給を~」といろんなところで言われ、全然喉が渇いていないのに無理に水分を摂ったり、足が浮腫んでいるのを水分が少ないせいだと考えてより多く摂ってしまったりする方がいらっしゃいますが、これがかえって不調の原因となる場合があります。

一般的に一日あたり最低限必要な水分は体重1kgあたり25~30mlと言われます。例えば体重50kgの方なら1250~1500mlですね。普通に3食摂っていれば食事に1000ml前後の水分が含まれますので、ほとんど汗をかかない生活であれば、500mlほど飲んでいれば最低限足りることになります。しかし、外で運動などすれば、必要な水分はすぐに1000ml単位で増えてきます。そうなると汗の量を計らないと必要な水分量が分からない、ということになってしまいますが、そんな時チェックしていただきたいのが排尿状態です。

一般的に排尿は一日7~8回と言われています。今あなたの排尿回数が一日7回前後で、毎回気持ちよく尿を出せていれば問題ありません。排尿回数が一日9回以上の方は、水分摂取が多いか、強い冷えを持っているか、膀胱機能が低下している可能性がありますが、これについては別のコラムで書きたいと思います。

夏に注意が必要なのは、尿の回数が少ない場合です。時々一日の排尿が3~4回という方がいらっしゃいますが、そんな方にチェックして頂きたいのは尿の色です。

一般的に寝ている間には水分を摂らないので、朝起きたとき一番初めの尿の色が一日で一番濃いのが普通です。日中の尿の色が朝と同じ、あるいは朝より濃い場合は脱水の可能性があります!食事からしっかり塩分を摂ると共に、尿の色がうすくなる程度まで水分摂取を増やしてください。

特に外で仕事をされる方の場合、一日5リットル以上の水分を摂っていても脱水になることがありますので、十分に注意してください。

次に排尿回数は少ないけど、尿の色は結構うすい方。体調が良いのであれば大きな心配はないと思いますが、もし、だるい、頭が痛い、食欲がない、下痢をしている、浮腫んでいる、関節が痛いなどの症状があれば、体内で水分分布の異常が起こっている可能性があります。これは感覚的に捉えにくいのですが、例えば、お酒を飲んだ後で喉が渇いてウーロン茶をたくさん飲むんだけど、なんだかおしっこがちょっとしか出なくて、関節が重だるくなって、翌日二日酔いで頭が痛くなる、そんな状態に近いものです。

こういう方は「おしっこが気持ちよく出ない」という言い方をされます。飲んだ分出ていなくておかしい・・・、という感覚なのだと思います。そんな感覚がある時に、たくさん水分を摂っても決しておしっこは増えてきません。かえってだるさが増すばかりです。

そんなときはちゃんと湯船に浸かったり、地道に規則正しい生活や栄養摂取をしていくしかありませんが、だるくて仕方のない場合に五苓散という漢方薬を飲むと驚くほど楽になることがあります。ご興味のある方は診察の際にご相談ください。(しのぶ)