漢方豆知識
2020.05.26

いつもポケットに漢方薬

体の不調があるといつも漢方薬を使っています。自分で治療することで漢方薬の効果を実感し、その感じ方を患者さんに伝えやすくなるからです。また、効果が感じられない時、どの程度飲んで処方を変えるべきか、判断がつきやすくもなります。

「不調」と言ってもほとんどは風邪、あと、数年前から挑んで最近完治したのに痔があります。痔の治療は純粋に漢方薬のおかげとも言えないのですが、西洋薬を使わずに良い結果となりました。痔のことも興味がある方がいらっしゃると思うので、いつか改めてこのコラムで紹介させて頂きます。

 

今日は風邪薬の話。風邪に使う漢方薬はたくさんあります。有名なのは葛根湯ですが、よく鼻炎に使われる小青竜湯も風邪薬です。その他の薬はあまり知られてないですが、よく「ツムラの○番」と言われるエキス剤だけでも15種類ほどあり、煎じ薬にすると、もっとずっと多くなります。

風邪は引き始めに治すのが一番簡単で、このタイミングで漢方薬を内服して、ぼくは1服から3服で治すようにしています。かなり短時間の勝負です。ぼくの場合、肩から頸の付け根あたりにコリが出て、寒気が出るのが風邪の引き始めの合図です。コリは不快なので自分でほぐしたり、押してみたり、寒気はお風呂に入れば楽になりそうとか、首を温めたいとかいう気持ちになります。そんな症状が出たときには、すぐに葛根湯を飲みます(医師の処方する葛根湯と市販の葛根湯は薬量が違うので注意してください。市販のものは少し弱めにつくられています)。寒気が強いと最初から2服飲んでしまいます。30分ほど経つと体が温かくなって、少し汗が出る感じがあります。その後スッと肩のコリが楽になり、早ければこれ終了。まだ寒気が残る場合はそこでもう1服。一年のうちの9割ほどはこの飲み方で風邪にかかるのを回避しています。薬を飲むタイミングを逸すると発熱してしまい、漢方薬で工夫しても治るのに最短で1日はかかってしまいます。

そのため、出かける時には必ず葛根湯を持ち歩くようにしています。漢方薬は長く飲まないと効果がないと、ぼくも漢方を勉強する前は思っていましたが、そんなことはないんですね。こんな急性期の症状にも漢方薬は力を発揮できます。風邪の引き始めに飲む薬は人によって異なりますので、また興味がありましたらご相談ください。(拓也)